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親知らずの周囲の歯ぐきが腫れる原因と4つの応急処置法

親知らずは上下左右にある合計32本の歯の一番奥、第3大臼歯に位置し、「智歯(ちし)」と呼ばれています。

親知らずがきれいに生えている方は通常の歯と同じようにものが噛めますが、生え方が不規則であると隣の歯を押したり、歯周ポケットが深くなって歯周病菌が入り込んだりするトラブルがみられます。

この記事では、親知らずの周辺にある歯ぐきが腫れてくる「智歯周囲炎」について詳しく取り上げていきます。智歯周囲炎になった際の応急処置についても紹介していますので、参考にしてください。

親知らず周辺の歯ぐきが腫れる「智歯周囲炎」とは

智歯周囲炎は、親知らずが存在しているために炎症が起きている状態です。

親知らずを抜歯することで解消できますが、具体的にはどのような症状がみられるのでしょうか。3つの症状と原因、治療方法についてみていきましょう。

智歯周囲炎の症状

親知らずが横や斜めを向いて生えてきたために隣の歯との間がすき間なく詰まってしまったり、歯周ポケットが深くなったりして、炎症が起きてくる症状です。

歯ブラシが届かないすき間ができた場合や、抵抗力が落ちて細菌に抵抗しづらくなった場合には、細菌が活発に活動して炎症を引き起こしていきます。

症状①頬が腫れる

智歯周囲炎は、他の歯にもみられる歯周炎の一種です。歯肉が腫れてきて、赤く盛り上がっていきブヨブヨとした手触りになります。炎症が拡大すると頬が痛んできて、歯ぐきだけではなく頬が全体的に腫れあがります。

症状②顎に異変がみられる

智歯周囲炎が進行すると、歯ぐきだけではなくその奥や周りの組織にも炎症が及んでいき、顎まわりに違和感や痛みが出てきます。

細菌が顎の骨に達すると、骨の中の歯髄が侵食され「顎骨骨髄炎(がっこつこつずいえん)」と呼ばれる骨髄の炎症となり、顎の重たさや痺れ感、痛みが出てくるようになります。

症状③口が開けづらくなる

歯ぐきよりも奥へと炎症が及ぶと細菌は顎へと進んでいき、腫れがひどくなっていくため、口が開けづらくなっていきます。すでに規模の大きな腫れになっているケースもあるため、早期に医療機関を受診してください。

【関連記事】親知らずによって顎が痛いときに考えられる2つの原因と治療方法

智歯周囲炎の原因

智歯周囲炎の原因は歯周病菌ですが、親知らずの存在によって歯周病菌を取り除けないポケットができていることが根本的な原因になります。

親知らず自身を取り除けば智歯周囲炎が起きるリスクはなくなりますので、親知らずがきれいに生えていない、歯周ポケットが深くなってしまっているような場合は抜歯をおすすめします。

【関連記事】歯周病は放っておくと危険!?歯肉炎との違いや治療法を解説

智歯周囲炎の治療法

智歯周囲炎への対処法は、親知らずの抜歯の前にまず患部の処置を行います。

親知らずのまわりを洗浄・消毒し、歯周病菌や毒素をきれいに洗い流してから抗生剤を投与し、鎮痛剤を服用しながら数日様子をみます。顎骨骨髄炎のように症状が進行し、膿が溜まっている場合は歯肉の切開や膿の取り出しも必要です。

その後、炎症が静まってから親知らずの抜歯を行います。抜歯後は歯周炎とは別に腫れる可能性があるため、引き続き鎮痛剤を飲みながら安静に過ごします。

親知らず周辺の歯ぐきが腫れた際の応急処置

親知らず周辺の歯ぐきが腫れた際にできる、4つの応急処置についてもみていきましょう。

①冷やす

腫れが出たときは、患部とそのまわりが熱をもっている状態です。冷やしたタオルや氷のう・氷をくるんだタオルを頬の上から当てて冷やすことで、炎症の痛みを軽減できます。ただし氷を直接口に含むといった行動は刺激になってしまうため避けてください。

②痛み止めを服用する

炎症による痛みには、痛み止めが効果的です。体に合う薬であれば市販品でも問題ありませんが、用法・用量を守って服用しましょう。クリニックで処方された鎮痛剤があればそちらを優先して服用してください。

③強い刺激を与えない

炎症や痛みの悪化を防ぐため、患部には摩擦や薬品による刺激を与えないように注意が必要です。間違って歯ブラシを当ててしまわないように、患部は病院を受診するまで安静にして過ごしましょう。

④口腔内を清潔にする

お口の中は常に清潔にしておきましょう。食べものや飲みものを飲んだあとは糖分が残ってしまうため、口をすすいでマウスウォッシュを使い、大まかな汚れを洗い流します。

歯磨きも食後4〜8時間以内に行い、歯垢が付着しないように予防してください。

親知らずによる歯ぐきの腫れは早期治療が重要

今回は、智歯周囲炎の特徴や原因、治療法について紹介しました。

親知らずはきれいに生えているものを除き、歯ぐきに埋もれていたり真横に生えていたりと、歯列を圧迫して歯としての機能を果たしていないものが多くみられます。

歯周炎の原因にもなるため、不要であれば早めに抜歯し、お口の中のトラブルがひどくならないように対処すると良いでしょう。

歯周炎が発生したときは早めに歯医者を受診し、早期治療で症状が軽いうちにお口の中のトラブルを解消しましょう。

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この記事を監修した人

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医療法人社団ルーブル 理事長

水谷 倫康

愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。

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