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親知らずが痛いのはなぜ?対処法と応急処置の方法を紹介

抜歯するべきか迷うことも多い「親知らず」。問題なく歯として使えるものもありますが、歯並びや顎のサイズによっては親知らずの存在によってズキズキと痛んだり、歯茎が腫れたりする場合もあるため、あまりにもトラブルがみられる場合は親知らずの治療を検討しなければなりません。

この記事では、親知らずの概要と痛みが出る理由、対処方法について紹介します。親知らずについて悩みやトラブルがある方は、歯医者や専門医を受診する前の参考にしてください。

親知らずとは?

「親知らず」は、歯の列の一番奥にある大臼歯のことを指します。通常、前歯から数えて8番目にある歯であり、4本すべて生え揃う人もいれば、1本しか生えないまたはすべての歯が生えてこない場合もあります。

親知らずは「智歯(ちし)」という呼び名もあり、部位と歯の種類を正式に表すと「第3大臼歯」となります。

【関連記事】親知らずの特徴とは?親知らずの虫歯治療と虫歯を防ぐ予防法も紹介

親知らずが痛む理由

親知らずは大人になるまでにゆっくりと生えてくることもあり、生えてくる過程で隣の歯を押して歯茎がズキズキと痛むことがあります。それ以外に、親知らず自身が痛む理由は3つ挙げられます。

虫歯や歯周病があるため

親知らずは、生え方によって斜め向きや真横に向いてしまうため、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯ぐきのすき間が深くなる場合があります。そのすき間にさまざまな細菌が入り込んで繁殖すると、虫歯や歯周病になってしまいます

親知らずも前歯などと同じ歯ですから、汚れの蓄積によって虫歯や歯周病のリスクが高くなっていきます。特に、親知らずが生える奥歯は歯ブラシやフロスが行き届きにくい場所で、細菌や食べかすが付着していても取り除きにくく、汚れが残ったままお口のトラブルが見逃されやすいのです。

虫歯も歯周病も、初期症状はほぼ痛みがなく中程度の症状になってから腫れや痛みが出るようになります。違和感や痛みがあるときは早めに歯医者を受診し、治療を行ってください。

智歯周囲炎を発症しているため

親知らずが生えてくるとき、斜めまたは横向きに生えてくると、親知らずと隣の歯との間にすき間ができます。通常、歯と歯の間にはどこでもすき間ができていますが、まっすぐに生えていればお手入れがしやすく、歯周病や虫歯を防ぎやすくなります。

しかし、斜めや横向きでは中途半端な角度がついてしまい、手入れしきれない部分ができて歯垢や食べかすが残り、歯のまわりの歯肉が歯周病を起こすことがあります。この歯周病が智歯周囲炎と呼ばれています。

智歯周囲炎は歯肉の腫れやズキズキとした痛み、歯茎から膿が出るといった症状がみられます。智歯(親知らず)が原因のため、親知らずを取り除くことで炎症の発生を防ぐことができます。

歯性感染症が生じているため

菌性感染症とは、虫歯や歯周病を引き起こす細菌が細菌性の炎症を引き起こし、炎症が親知らず以外の歯周組織にまで及ぶ疾患です。

親知らずが炎症を起こすと智歯周囲炎となり、その炎症が周りの組織に及ぶと、菌性感染症となります。炎症という点では共通していますが、歯性感染症は歯茎以外の部分、頬や顎の腫れを引き起こしたり、口の中以外にまで症状が広がったりする場合もあります。

歯性感染症はどの歯についても起こりうる病気ですが、手入れが不十分になりやすい親知らずが原因で発症するケースも報告されています。

親知らずが痛いときの対処法

親知らずが痛いときは、まず歯医者などの専門医を受診する必要があります。

痛みの原因が虫歯なのか、歯周病なのかによっても対処方法が変わるほか、親知らずの歯に問題はなくても、周辺組織に感染症がみられるという場合も考えられます。

親知らずが痛むときは、以下の4つの方法で対処を行いましょう。

親知らず周辺のクリーニング・消毒

痛みがあるときは、まず細菌による活動を防ぐためにクリーニングや消毒を行います。炎症がみられる部分を中心に、歯の汚れを取り除いたうえで消毒を行い、腫れや痛みが引くか様子をみます。

それでも収まらない場合は他の方法を検討することになりますが、クリーニング・消毒とあわせて抗生物質や痛み止め薬の処方を行い、患部の状況をみながら治療を継続します。

親知らず自身が原因である場合は、クリーニング・消毒を施して炎症が収まってから、親知らずを抜歯するといった処置も検討しましょう。

抗生物質・痛み止め薬の処方

細菌による感染症のおそれがある場合は、抗生物質の服用を行います。消毒だけでは細菌の活動が低下させられないため、抗生物質の服薬も必要になります。

また、痛みがある場合は痛み止めを服用し、炎症の鎮静化などと並行して痛みを取り除いていきます。

親知らずにできた虫歯や歯周病は治療が必要ですが、親知らずが生えている位置が問題になっている場合は、根本的な治療として咬み合わせの調整を行うか、抜歯も検討することになります。

咬み合わせを調整

咬み合わせの調整は、抜歯をする必要はないけれど歯周ポケットや隣の歯とのすき間を調整しなければならない場合に行われる処置です。

親知らずは、生え方によっては必ずしも抜歯を行う必要はありません。8番目の歯として使い続けられる場合は、1本でも多くの歯を残すために抜歯を避け、代わりに歯列全体の並びを整えて正しい間隔や並び方に調整します。

動かしたい歯が少なければ部分矯正でも咬み合わせは調整できますが、部分矯正によって口の中のバランスが変わる場合は、上下左右のバランスをとるためにお口全体を矯正します。

抜歯

親知らずの生え方次第では、咬み合わせの矯正ができず抜歯しか選択肢がない場合もあります。埋伏歯(まいふくし)と呼ばれる横向きの歯は、歯茎の下に埋まったまま歯の表面すら見えない場合がありますが、そのような歯は待っていても生えてくる可能性は薄いため、抜歯をしたほうが効率的です。

抜歯によって歯と歯のすき間や歯周ポケットは解消され、清潔さを保ちやすい状態に仕上がります。歯としての機能は損なわれてしまいますが、それ以外の歯周病や虫歯のリスクを大きく減らすことができる方法です。

【関連記事】親知らずを抜くベストなタイミングはいつ?抜いたほうがいい人の特徴も紹介

親知らずが痛いときの応急処置

親知らずが痛いとき、すぐにできる応急処置としては4つの方法が挙げられます。それぞれの方法をチェックしていきましょう。

親知らず周辺を冷やす

すでに親知らず周りの歯肉に炎症が起きている、あるいは熱感や痛みをともなう腫れが出ているときは、親知らずのある部分の上から冷たいハンカチなどを当てて冷やしましょう。クールダウンによって炎症が鎮静化し、痛みや腫れを感じにくくなります。

応急処置をした後は、早めにクリニックを受診しましょう。「虫歯かもしれないけれど冷やせば問題ないだろう」などと自己判断をすると、さらに症状の悪化を招くおそれがあります。

歯を磨いて口内を清潔な状態にする

痛みや腫れがあるときは、なかなか患部に触ろうとは思えないかもしれません。しかし、口の中が汚れているときほど細菌が活動的になり、症状の悪化を招くため、歯をきれいに磨いて清潔な状態を保つようにしましょう。

親知らずが虫歯になっていても、最低限の汚れは取り除く必要があるため、ブラッシングは必要です。ブラシがかけられないほど痛い・あまりにも染みてしまう・激痛で何もできないといった症状があれば、すぐに歯医者を受診して治療を優先してください。

刺激の少ない食事を心がける

検査や治療を受けるまでは刺激を与えないようにする方法も応急処置になります。冷たい飲み物や熱した食べ物を口にしない・刺激物を避ける・硬いものを食べないといった方法が効果的です。

虫歯の場合はチョコレートのような甘いものも痛みを引き起こしやすいため、甘いものを食べないようにする方法もあります。

十分に睡眠をとる

副交感神経を優位にして、リラックスするだけでも痛みを軽減できる場合があります。運動や入浴を避け、体を横たえて休ませてみると、症状を和らげられる可能性があります。

親知らずのトラブルは早めに対処しよう

今回は、親知らずの特徴と痛みの原因、対処法について紹介しました。親知らずが埋まっているスペースが狭いと、正常に生えてこないため思わぬトラブルにつながる場合があります。

普段から親知らずとその周辺はこまめに手入れをして、汚れなどを残さないようにケアする必要がありますが、痛みや違和感があればすぐに歯医者を受診してください。

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この記事を監修した人

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医療法人社団ルーブル 理事長

水谷 倫康

愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。

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