歯周病

歯の被せ物から臭いが生じる原因は?

歯の被せ物から気になる臭いがするケースは意外と多く、よくある悩みの1つです。被せ物は虫歯や破折した歯を修復するためには欠かせない治療ですが、時間の経過とともにさまざまなトラブルが発生する可能性があります。

とくに臭いの問題は、口臭の原因となるだけでなく、歯の健康状態の悪化を示すサインかもしれません。

本記事では、歯の被せ物から臭いが発生する原因と、その改善方法について解説します。早めに適切な対処をすることで、健康的な口腔環境を保てます。

歯の被せ物から臭いが生じる原因

歯の被せ物は、虫歯や歯の破損を治療するために装着されますが、適切なケアを行わないと、臭いの原因となることがあります。おもな原因は以下の4つがあげられます。

  • ケアが行き届いていない
  • 被せ物の下で虫歯になっている
  • 歯周病が進行している
  • 銀歯が腐食している

これらの原因に対処するためには、適切な口腔ケアを行うことはもちろん、定期的に歯科医院でのチェックとクリーニングを受けることが大切です。

原因①ケアが行き届いていない

歯の被せ物は天然の歯と比べて汚れが溜まりやすく、とくに注意が必要なのは被せ物と歯茎の境目です。歯ブラシが届きにくく、プラーク(歯垢)が残りやすいため、細菌が繁殖して臭いを発生させる原因となります。

また、被せ物の材質によっては表面に細かい傷がつきやすく、そこに汚れが入り込んでしまうケースも。毎日の歯磨きでは、丁寧に汚れを落とすことを心がけましょう。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシの併用で、被せ物と歯の隙間を清潔に保つことが効果的です。

さらに、被せ物の種類によっては専用の洗浄剤やケア用品を使用することで、より効果的に清潔を保ち、臭いを予防できる場合があります。歯科医院で適切なケア方法について、相談してみるのもよいでしょう。

原因②被せ物の下で虫歯になっている

被せ物を装着した歯でも、虫歯になることがあります。被せ物はあくまで人工物であり、天然の歯と同じように虫歯菌から攻撃を受ける可能性があります。

とくに、被せ物の下に虫歯ができると外見からは分かりにくいため、気づかないうちに進行してしまうケースも少なくありません。虫歯が進行すると細菌が繁殖し、臭いを発生させるだけでなく、被せ物が外れて激しい痛みや腫れを引き起こす可能性も。

定期的な歯科検診で、被せ物の下の状態をきちんとチェックしてもらうことが大切です。また、日ごろから丁寧な歯磨きを心がけ、虫歯のリスクを減らしましょう。

原因③歯周病が進行している

歯周病の進行も、被せ物からの臭いの原因となります。歯周病により歯肉が炎症を起こすと、歯と歯肉の間に歯周ポケットと呼ばれる隙間ができます。この隙間に歯周病菌が繁殖すると、強い臭いが発生。

被せ物がある場合、歯と歯肉の境目に段差ができやすく、歯周ポケットが形成されやすい特徴があります。また、歯周病が進行すると歯肉が腫れて出血しやすくなり、その血液が腐敗することで臭いが強くなることも。

歯周病は、全身の健康にも影響を与える可能性がある病気です。症状が進行すると、被せ物の土台となっている歯が緩んでしまうこともあるため、早めの治療が必要です。

【関連記事】歯周病が手遅れになったときの症状とは?セルフケアで予防はできる?

原因④銀歯が腐食している

銀歯(金属冠)を長期間使用していると、金属が腐食することがあります。腐食が進むと、被せ物と歯の間に隙間が生じ、そこに細菌が侵入して臭いの原因となります。また、金属の腐食自体も独特の金属臭を放つことも。

腐食は見た目の変化だけでなく、金属イオンが溶け出すことで健康面にも影響を与える可能性があります。銀歯の寿命は約10~15年といわれており、この期間を目安に状態をチェックするのがおすすめです。

最近では、見た目も自然で耐久性の高いセラミックなどの材料も選択できます。銀歯の腐食が気になる場合は、歯科医院で新しい被せ物への交換を検討しましょう。

歯の被せ物の臭いを改善する方法

歯の被せ物から生じる臭いの改善には、適切な処置と予防が重要です。被せ物を新しくすることは、臭い対策の有効な解決方法の1つです。とくに使用年数が長い被せ物や、明らかな劣化が見られる場合は、交換を検討する必要があります。

最近の歯科治療では、見た目が自然で耐久性の高いセラミックなど、さまざまな材料を選択できます。また、予防のために定期検診を受けることも大切です。一般的な検診の目安は半年に1回程度ですが、被せ物がある場合はより頻繁な検診を推奨する場合も。

定期検診では、被せ物の状態やフィット具合、周囲の歯肉の健康状態などを確認します。また、歯科衛生士による専門的なクリーニングを受けることで、自分では取り切れない歯垢や歯石を除去できます。早期発見・早期治療により、大きなトラブルを防げるでしょう。

まとめ

歯の被せ物から臭いが発生する原因には、日常的なケア不足や二次虫歯の発生、歯周病の進行・銀歯の腐食などがあります。これらの問題を予防・改善するためには、適切な口腔ケアと定期的な歯科検診が欠かせません。

被せ物の状態に不安がある場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。適切な材料の選択や定期的なメンテナンスにより、健康的で快適な口腔環境を維持できます。

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この記事を監修した人

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医療法人社団ルーブル 理事長

水谷 倫康

愛知学院大学歯学部卒業後、愛知県を中心に多くのクリニックを持つ医療法人清翔会グループに入職。2019年12月に『渋谷ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。2022年12月にはグループ医院である『新宿ルーブル歯科・矯正歯科』を開院。
「気軽に相談できる歯のコンシェルジュ」をモットーとし患者との「コミュニケーション」を重要と考え、1人1人に合わせた「最善の治療」提案している。

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